建設系資格について(その4)

今回も建設系資格について紹介します。

前回は現場監督側の資格である施工管理技士の取得理由として、監理技術者、主任技術者のお話をしました。今回はいよいよ施工管理技士についてお話をしていきます。

施工管理技士自体は既にご存知の方も多いですが、2019年から電気通信工事の施工管理技士の追加、2021年からの技士補の新設と試験の見直しは少し新しいトピックスです。そのあたりもお話していきます。

施工管理技士は、建設業法に基づく国家資格です。設計から施工までの管理監督する技術者のための資格です。種類としては、工事の種類に応じて、建築、土木、建設機械、電気工事、管工事、造園、電気通信工事の7つに分かれます。このうち、電気通信工事は2019年度から新設された新しい資格です。通信ケーブルやLAN設備、モバイル設備などネットワーク関連に関する工事を対象とした資格です。

電気工事と電気通信工事の違いがピンと来ない方に補足説明すると電気工事は「強電」と呼ばれる電気をエネルギーとして使うための工事で工場配電、電柱等の送電、発電所といった工事を行うものです。一方、電気通信工事は「弱電」と呼ばれる電気を信号として使うための工事で、電話設備・テレビ関連・ネット設備といった工事を行うものです。

実は建設業の業種は全部で29業種(2016年に解体工事が追加)あるのですが、全部の業種に対応した監理技術者がありません。具体的にいうと、平成までは、機械器具設置、電気通信、さく井、消防施設、清掃施設の5つの業種は技術士という資格か実務経験でしか監理技術者になれない(消防施設は経験のみ)状態でした。このうち、さく井、消防施設、清掃施設は工事量が少ないが、機械器具設置、電気通信は工事量が多く、さらに、電気通信は今後も増加傾向にあるとのことで資格追加となったのです。

さて、業種別以外にも施工管理技士は1級、2級というランクがあります。さらに、試験が一次検定(以前は学科試験と呼んでいました)、二次検定(以前は実地試験と呼んでいました)の2回の試験があるのですが、一次検定合格により、技士補という資格保有者になることができるようになりました。つまり、1級技士、1級技士補、2級技士、2級技士補という4段階になります。これ、2021年つまり、今年度からの新しい規定です。

7種類と4段階の組み合わせがこれからの施工管理技士の資格形態になります。結構複雑ですが、これは資格保有者不足で工事の受注が思ったようにできない中小建設業を考慮した仕組みづくりなのです。

1級技士補の資格を持って、かつ、実務経験等で主任技術者要件を満たしていると監理技術者の元で工事責任者になることができます。監理技術者が1人しかいない会社でも1級技士補が2人いれば2つの現場の工事ができるということになります。(最大2現場なので、3現場はダメですが、当面なので、状況によっては変わるかもしれません。)技士補の資格保有者がいれば、2倍の施工高を実現できるかもしれないのは魅力的ですよね。

今回の改正で2級の二次検定合格後、翌年に1級の一次検定が受験可能になりました。若手が早い段階で1級技士補の資格取得ができるような配慮がされています。とはいえ、2回も試験を受けなければならないのはなかなか大変ですし、合格率も3,4割なので、決して簡単な試験ではありません。

今回、資格の見直しに伴い、1級の一次検定の試験内容もより監理技術者を意識したものになってくるようです。2級の一次検定も技士補を意識して、施工管理の実務的な視点が付与されるので、難易度があがりそうです。いつもの学科試験の勉強+実地試験の勉強も少し加えておくことをお勧めします。

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