建設系資格

今回から建設系資格について紹介します。

もうすぐ、新年度が始まります。コロナ禍で業績が厳しい企業もあると思いますが、こんな時だからこそ、資格取得で自社の社員スキル向上や新しい分野での工事を増やすチャンスでもあります。

建設業は安全面でも品質面でも国民、都道府県民、市町村民の快適な暮らしを守るためにいろいろな制約があります。その一つに特定の資格取得者でないとできない作業や受注できない工事というのがあります。

既に建設業に従事している方であれば、「そんなことは当たり前」ということですが、新卒者や他業種からの転職者の方には「こんなに制約があるのか」と思われるようです。今回はそんな新卒者や転職者向けに基本的なことからお話します。

まずは資格の大きな分類です。これは他業種でも共通ですが、国家資格と公的資格と民間資格に分かれます。

国家資格は法律に基づいて、中央省庁、地方自治体が所管する資格のことです。年齢、学歴や実務経験で資格取得に制限がある資格も少なくないです。また、業務独占資格といってその資格がないとできない仕事があったり、必置資格といって、事業所(現場も含む)に必ず資格保持者がいないとだめな資格もあります。

具体的な資格で説明すると建築士は建築士法という法律で定められており、建築士でないとできない設計や工事監理というのが決められています。建築士も「一級建築士」「二級建築士」「木造建築士」「建築設備士」と4種類あり、それぞれでできる範囲が異なります。

現場だと監理技術者や主任技術者と呼ばれる資格が建設業法で定められており、必置資格であり、さらに専任義務(現場に専任常駐する)がある資格もあります。監理技術者は建設業関連の「1級国家資格者、技術士」か一定の実務経験がないとなれません。この実務経験も専門分野の学校出身でなく、国家資格がない場合は10年以上必要なため、簡単ではありません。

公的資格は商工会議所の検定や公益法人の資格など公的な性質はあるが国家資格でない資格のことです。民間資格は民間の団体が基準を設けて試験等により合格者に与える資格です。社内資格もこの中に含まれます。ただし、公的資格と民間資格の境界は少し曖昧なので、掲載しているページによって異なる場合もあります。

気を付けてほしいのは国家資格だから取得が難しいとか、民間資格だから簡単にとれるというわけではありません。難易度とは一致しませんので注意してください。

また、資格によっては、更新義務が必要なものもあります。毎年のものもあれば、5年に1回のものもあり、更新料も必要です。つまり、取得したらOKというわけではないものもあるということです。ほとんどが研修等による最新知識の確認といったものなので、そんなに身構えつ必要はありませんが、更新を忘れて、失効してしまい、入札等で困ったことになった話は少なくありません。

あと、建設系資格の特徴で、特別教育、技能講習、免許といった分類もあります。労働安全衛生法に係るもので、一定の危険・有害な業務につくときに行う必要があるものです。

特別教育は登録教習機関で教育(講習や実習)を受けたらOKのものです。技能講習も同様に登録機関で研修し、最後の試験に合格をしたら、資格証がもらえるものです。免許は、受験資格があり、一定の試験に合格したら取得できるものです。特別教育、技能講習、免許になるにつれて難易度が上がっていきます。

具体的な例でいうと、移動式クレーンはつり下げ荷重(要は荷物の重さ)が1トン未満の小型クレーンを操作するのであれば、「特別教育」を受ければOKですが、1トン以上5トン未満なら「技能講習」が必要ですし、さらに5トン以上であれば「免許」がないと操作はできません。このように難しい操作や危険レベルが上がるにつれて、資格取得のハードルもあがっていくのです。

詳細は次回以降にお話していきます。

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