今回もIT系資格について紹介します。今回は、民間資格のうち、開発時のテストに関する資格についてお話しします。
ITにおけるテスト
IT開発にテストは不可欠です。AIが進んできた現在でも、まだ自動的に最適なプログラムを簡単に作ることは難しいです。どちらかというと、部品レベルのプログラムを自動的に作ってもらい、それを人が組合せたり、修正したりすることで完成させているのではないでしょうか。
人が関与する以上は、ミスがゼロになるのは難しく、結果として、テストを行う必要があります。開発の手法によって、テスト内容が異なる場合もありますが、単体のプログラムをテストする単体テスト、複数のプログラムを合わせてテストする結合テスト、全体的な性能も含めて確認する総合テストがあります。一応、ユーザー側が動作確認をする受入テストもありますが、開発側が行う総合テストに近い内容になります。
テストの手法もここ最近略語勉強会で紹介していますが、プログラムの中身がわかって行うホワイトボックステスト、中身はわからないが、機能がわかっているので機能を確認するブラックボックステストといった手法があり、他にも様々なテストパターンがあります。当然、知識や経験が必要であり、そのための資格があるのは言うまでもありません。
まずは、この中で、ITSSのマップに掲載されている資格を3つ紹介します。
JSTQB認定テスト技術者
最初は一般財団法人日本科学技術連盟が認定しているJSTQB認定テスト技術者です。JSTQBは、Japan Software Testing Qualifications Board(日本ソフトウェアテスト資格委員会)の略です。
ソフトウェア開発におけるテスト設計やテスト設計の分析、さらにテスト工程全体の管理などの知識を確認する資格です。国際組織であるISTQBと連携しているので、海外でも通用するのが強みです。
Foundation Level(ITSSのレベル2)とAdvanced Level(ITSSは未設定)があります。Advancedはテストマネージャとテストアナリストの2種類に別れています。ちなみに、ISTQBはFoundaitonは1つですが、Advancedが3種類、Specialist(AIとかGAMEとか)が11種類もあります。奥が深そうです。
ソフトウェア品質技術者資格
次に紹介するのがソフトウェア品質技術者資格です。日本科学技術連盟が認定しています。日本科学技術連盟と言われてもピンとこない方が多いと思いますが、品質管理の目指す目標の一つであるデミング賞を選考しているところです。昔はこれを取るのが建設業での最高品質の証でした(今もそうかもしれません・・・)
英語ではJCSQE(JUSE Certified Software Quality Engineer)と呼ばれています。ソフトウェアの品質向上に関する包括的かつ体系的で本質的な知識を身につけているかを確認する資格で、初級と中級があります。初級がITSSレベル2、中級がレベル4です。初級は60分で選択式だけですが、中級は記述もあり、120分あります。上級はまだ策定中ですができる予定のようです。
IT検証技術者
最後がIT検証産業協会が認定するIT検証技術者です。テストの現場における実務を重視している資格で、レベルが1から5まであり、そのまま、ITSSのレベル1からレベル5に対応しています。テストはまだですが、レベル6,7というITSSの実務経験で評価されるレベルも資格を考えているようです。
なので、基礎知識だけでなく、テスト計画立案、実施、管理といったレベルにも対応できる内容となっており、ITSSとの相性は一番いいかもしれません。
「テストなんて、システムの開発会社がやることで、ユーザー側には関係ない」と思われがちですが、受入テストと呼ばれるシステム導入時のテストはユーザー側がどれだけテストを理解しているかで大きく手間や時間が変わります。
できれば、1人で、しかも基礎レベルでいいので、資格の勉強をされることをお勧めします。