建設系資格について(その13)

今回も建設系資格について紹介します。

前回は不動産関連資格を紹介しました。前回のメルマガには明確に記載していませんでしたが、紹介した宅地建物取引士、土地家屋調査士、不動産鑑定士の3つとも国家資格です。

さて、今回は同じく建設系とは少し離れますが、密接な関連をもっている環境系資格をについて紹介します。環境系といっても、環境保全・公害防止や建物内の衛生環境、人の働く労働環境と幅広いです。今回はその中で工事に関係しそうな資格を中心に紹介します。

まずは、環境アセスメント士です。国土交通省登録資格になっている公的資格で、環境アセスメントに関する環境調査や保全措置の検討、環境アセスメント法に関する手続等を行う資格です。アセスメントは評価という意味ですが、ここでは影響評価と呼んでします。

資格は生活環境部門と自然環境部門に分かれており、2400字以内の業務経験を記載する記述式と技術・知識を問う択一式の試験を1日で行うようになっています。受験資格は実務経験が必須です。

大きな工事や自然環境が豊富な場所での工事では環境アセスメントは必須です。事業者が行うものですが、知識をもっておくことは有用だと思います。特にISO14001いわゆる環境マネジメントを取得している企業は工事単位で環境リスク評価を行いますので、勉強して損はないと思います。

次は、ビオトープ管理士です。こちらも国土交通省登録資格になっている公的資格で、業務の入札条件になる場合もある資格です。資格は、都市計画等を主に実施するためのビオトープ計画管理士と実際の設計・施工を実施するためのビオトープ施工管理士の2つに分かれています。さらに1級と2級に分かれており、国土交通省登録資格は1級のみが対象となっています。

ちなみにビオトープとは生きもの(bio)と場所(topos)から作られたドイツ語で、日本では生物空間と呼ばれています。地域の生きものが生息・生育する空間を指しています。工事の場合は、その生き物たちの住みやすい環境づくりを示していることもあります。

最近はビオトープそのものを作る工事も出てきています。公園や学校などの公共施設はもちろん、ビルの屋上や中庭、工場の一角といったところでも自然環境保全や社員への職場環境改善の一環として空間づくりが行われている場合もあります。SDGsの観点からも注目されている分野だと思います。

次は作業環境測定士です。こちらは国家資格で有機溶剤、特定化学物質、放射性物質、鉱物性粉じん及び金属類を取り扱う作業場の作業環境測定は、作業環境測定士の資格が必須となります。工事現場で粉塵・騒音が発生したり、坑内作業など特定の作業環境で仕事を行う場合は測定が必要であり、この資格者が測定することになります。

資格は第一種と第二種に分かれており、第二種は行える測定業務に制限があります。試験は択一式で、作業環境に関する広範囲な知識を問われる内容になっています。受験には実務経験が必要です。

最後はちょっと毛色が違う資格として、環境カウンセラーを紹介します。環境省の公的資格で環境保全に関するアドバイス・指導を行うための資格です。事業者部門と市民部門に分かれています。試験というよりは審査と言った感じで、課題論文を提出し、合格したら、面接試験という流れです。実務経験が必須です。企業の地域貢献の一環として、社内に1人でもいると評価されると思います。

現場の管理項目にQCDSEとEの環境が含まれて久しいですが、対応に苦労されている関係者も少なくないと思います。今回紹介した資格を取得するかは別にして、試験内容に少しでも触れると現場管理に役立てることがあると思います。

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