今回からIT系資格について紹介します。
IT系資格紹介の経緯
前回までは建設系資格として、様々な資格を紹介しました。建設業への携わり方で多くの資格取得が必要になります。特に法律で必須と求められている資格や入札に必要だったり、経営審査事項であると加点される資格など取らざる得ない場合が多いです。
一方で今回から紹介するIT系資格はあまり義務的なものはありません。特に建設業に携わっている方はがんばって勉強して取得する理由は少ないです。しかし、日本でのIT利活用が世界に比べて遅れている理由として、体系立てたITリテラシーをもっている社員が少なく、経営者自身も知識・経験不足で適切な方針が出せていないからだと思います。なので、今回、IT系資格の紹介をして、取得(もしくは勉強)してもらうことで、建設業のIT化をすすめることができればと考えています。
IT系資格【国家資格】
今回からIT系資格の話を全般的にしていきますが、これはあると便利ですよといった資格についてはそのたびごとに触れていきたいと思います。
まずは、国家資格です。こちらはIPA(情報処理推進機構)という経済産業省管轄の独立行政法人が実施しています。試験としては、ITを利用する側とITを作る側に分かれており、さらに上位の資格はマネージャー系とエンジニア系に分かれています。
ITを利用する側の資格
まずはITを利用する側としては、ITパスポートと情報セキュリティマネジメントがあります。
ITパスポートはご存じの方も多いと思いますが、初心者向けでITに関する幅広い知識を身につけるのに向いています。とはいえ、専門用語がいっぱい出てくるので苦手の人には難しいとの話も聞きます。私としては新人はもちろん若手まではこの資格取得を目指してほしいです。
次に情報セキュリティマネジメントですが、これはITの安全な利活用を進めるためにあると役に立つ資格でできれば、会社に1人ぐらいはもっているといいかなと思います。
利用側の試験は多肢選択式のマークシート形式です。また、ITパスポート試験はコンピュータで試験を行うCBT方式なので、いつでも受けることができます。情報セキュリティマネジメント試験は上期と下期の年2回です。
ITを作る側の資格
ITを作る側の方は基本情報技術者、応用情報技術者があります。作る側の入門編である基本情報技術者、さらに応用的知識が必要な応用情報技術者でIT系企業では若手の取得目標に設定している企業が多いです。
その上は高度試験と呼ばていますが、マネージャー系とエンジニア系に分かれます。マネージャ系はITストラテジスト、プロジェクトマネージャ、ITサービスマネージャ、システム監査技術者の4つ、エンジニア系はシステムアーキテクト、ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、エンベデッドシステムスペシャリスト、情報処理安全確保支援士(元情報セキュリティスペシャリスト)の5つがあります。
ITストラテジストはITを経営戦略に活かすための知識、プロジェクトマネージャはITシステムのプロジェクト管理、ITサービスマネージャはITサービスの管理、システム監査技術者はシステムの監査に関する知識が必要な資格です。
システムアーキテクトは情報システムの全体設計を行う知識、ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、エンベデッドシステムスペシャリストはそれぞれネットワーク構築と運用、データベース構築と運用、組込みシステムの構築と運用に関する知識が求められます。
情報処理安全確保支援士は情報セキュリティに関する知識が必要で、以前は情報セキュリティスペシャリストと呼ばれていましたが、情報セキュリティの範囲が利用する側、作る側に横断的になることから、試験ではエンジニア系ですが、合格後、申請すると情報処理技術者とは独立した資格として扱われています。
作る側の試験内容は結構大変です。基本情報技術者は多肢選択式ですが、応用情報技術者は午後に記述式が入ってきます。さらにそれより上の高度試験は論述式いわゆる小論文を書く必要があり、難易度は技術士レベルに達しているものもあります。作る側の資格は建設業ではなくてもいいと思いますが、自社開発を念頭に置いている企業であれば、基本情報技術者はあるといいかもしれません。