ITと資格について

前回までにITSSの資格マップを中心に様々なIT系資格を紹介しました。今回はまとめとして、改めてITと資格についてお話します。

振り返ると3週間ごとですが、1年以上IT系資格の紹介しました。見ていただければわかると思いますが、多種多様な資格があることに気づかれたのではないでしょうか。

一般的なITスキルと資格のイメージ

一般的にITスキルというとエクセルやワードが使える。パワーポイントが使えればよりいいとか、インターネット関連技術(HTMLやCSS等のWebサイト関連やメールの設定、ネット接続等)をもっているとか、エクセルマクロを含むちょっとしたプログラミングスキルがあるといったことが多いと思います。

もちろん、それらは大事な基礎スキルであり、できれば全社員に学んでほしいものでもあります。そのため、ITパスポートやマイクロソフトオフィススペシャリストといった資格取得が推奨されています。私もお勧めします。

最近、必要とされているIT知識

しかし、建設業界も含めて、クラウドサービスの上手な活用、ITを利用した業務改善、IoTによる自動計測等ITの範囲は広がっており、そのための知識が不可欠になっています。当然、オフィスソフトや初歩のネット技術以外のIT知識が必要になってきます。

こういった場合に利用したいITに対応した資格を取得するのも一つの手ですが、その経験・知識をもった外部業者を利用するケースの方が多いと思います。その時に関連した資格をもっているかどうか確認するだけで、力量がある程度はかれるという点でもどんな資格があるか知っておくことは大切だと思います。実務中心の外部業者でもダメではないですが、実務経験+資格取得者の方が安心感があるのは言うまでもありません。

IT資格と実務知識・経験

また、以前もお話したようにCADなどは操作スキルだけ覚えても業務にはあまり役立ちません。建築や土木、機械の設計知識がないと成果物としては不十分なものしかできないからです。以前、配筋が絶対無理な図面(51mmの鉄筋が50mmピッチ)や非効率で品質的に問題のありそうな形状にするのか不思議な図面を見たことが何度かありますが、業務知識がない人に書かせるとこんなことが起きます。

つまり、IT利活用を十全にしたい場合、ソフトやアプリ、サービスの操作スキルだけでは十分ではないということです。IT系資格を勉強してくださいとお話しているのはその資格に関係するITの背景や体系的な知識がきちんと学べるからなのです。ちなみに先ほどお話したCAD系の資格も建築や機械の設計知識が必要なタイプの資格もあります。実務と一体になっている資格はお勧めです。

とはいえ、この操作スキルだけではダメというのは資格を取得する社員側の理解だけでは不十分です。受けさせる側の上司、もっというと社長自身がそのことを認識しておく必要があります。○○というIT系資格を取得すれば、ITを活用した業務改善ができるだろうという考えで取得を促す話を聞くことがありますが、業務知識や改善手法の知識なしでは無理なのは言うまでもありません。

IT系資格の取得は、業務知識等そのITスキルを活かすための周辺知識を持っている人が取得することでより大きな効果を発揮します。逆に最初にIT系資格を取得した人には業務知識等実務に活かすための知識を習得させることが重要であり、これらを受けさせる側の管理者や社長が意識しておく必要があるのです。社員教育の中にIT教育を組み込む場合はぜひ配慮してください。

広い意味でのIT

最後にだいぶ前にもお話したことですが、ITは情報技術であり、コンピュータを利用した技術と言われることが多いですが、私はITとは情報を活用するための技術であり、コンピュータを使わないが、作図技術を使って適切に相手に意図を伝えるとか、会議の内容をうまくまとめて関係者に迅速に正確に伝えるとかいうものもITの一部だと考えています。

つまり、ポンチ絵が上手で仕事を的確に指示できる社員も昼の打合せで簡単な手書きの配置図で安全な作業のポイントを伝えることもアナログですが、また一つのITだと思います。自社のITをどのような形で業務に活かすかを考えてください。そして、その形を見える化する一つの方法が資格取得という捉え方もあるということです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする