建設系資格について(その5)

今回も建設系資格について紹介します。

前回は施工管理技士についてお話をしましたが、今回は建設系資格としては難易度最高峰の技術士についてお話します。

技術士とは、科学技術の応用面に携わる高等の専門的応用能力を備えた技術者の資格となっています。試験は一次試験と二次試験にと2回あり、一次試験に合格すると技術士補の資格を取得できます。

ただし、一次試験は誰でも受けることができますが、二次試験は7年の実務経験もしくは技術士補で4年以上の実務経験が必要です。さらに、二次試験は論述式の試験で、5時間半で最大5400字の記述をしなくてはいけないうえに、その筆記試験合格後、3000字の技術的体験論文を書いてから口頭試験(20分程度)で体験論文や経歴を踏まえた質疑応答を行う必要があります。二次試験の合格率は10%前後と難易度もそれなりに高いです。

資格の範囲は建設だけでなく、機械、船舶、航空、電気、化学、繊維、金属、資源、上下水道、衛生、農業、森林、水産、経営、情報、応用理学、生物、環境、原子力の20部門に全体を監理する総合技術監理部門の合計21部門があります。

人によりけりかもしれませんが、二次試験の最大5400字はかなり大変です。時間は長いですが、設問を読んで、文書構成を考えてから、骨子(解答ポイントの箇条書き)を書いて、実際の記述となると10分で240字から300字ぐらい書けないと時間が足りなくなります。1字当りだと2秒から2.5秒です。日頃手書きに慣れている人ならいいかもしれませんが、パソコンで作業している人にはきついです。このスピードで、さらに採点者に読んでもらえるようにできるだけ丁寧に誤字脱字がないという条件ですから、よっぽどの人は練習しないと難しいと思います。

また、口頭試験は試験申込時に提出した業務経歴書と技術的体験論文、技術士法の内容をもとに質疑応答が行われます。実経験が豊富で、施主・発注者や協力業者、近隣住民などに打ち合わせや説明をしている方なら大変ではありませんが、そのような経験がない方には、鋭い質問に上手に対応できない場合もあるようです。

「なんでこんな大変な試験を受けなきゃいけないの?」と思われる方も多いと思いますが、建設業では2つの大きなポイントがあります。

1つは公共工事の入札参加の基準にある経営事業審査項目の中に技術士取得者数があります。技術士資格はポイントとなり、より上位(金額の大きい)の入札参加を得られる可能性が出てきます。建設コンサルタントでは、専任技術管理者として技術士資格が必要なだけでなく、入札資格として技術士資格の保有を求められることもあります。

もう1つは監理技術者の資格取得ができる業種が増える場合があるということです。仮に1級土木施工管理技士と1級建築施工管理技士をもっていても、電気工事と造園工事は監理技術者になれないのですが、技術士の建設部門を取得するとこれが可能になります。上下水道部門を取得すると管工事、さく井工事、水道施設工事といった業種で取得が可能になります。もちろん、電気、管、造園、電気通信は1級施工管理技士がありますので、そちらを受けるほうが合格の可能性は高いかもしれません。

大手建設会社では管理職になる際の必須資格にしている場合も多く、技術士の部門別登録者数は建設部門が50%近く占めています。なかなか手が出せない資格だとは思いますが、自分の実務経験を形にするという点ではとてもいい資格です。

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