建設系資格について(その12)

今回も建設系資格について紹介します。

前回は民間資格の中で、建築系の資格を意匠系、設備系、積算系でいくつか紹介しました。ちなみに前回説明はしていませんでしたが構造系は国家資格です。

さて、今回は少し建設系とは離れますが、建設会社としては、重要な不動産関連の資格について紹介します。

まずは、宅地建物取引士です。最初は宅地建物取扱員、その後しばらくは宅地建物取引主任者と呼ばれていましたが、2015年より今の名前になりました。略称としては宅建士と呼んでいます。

宅地や建物の売買・交換等で取引を行う際に重要事項の説明というのがあります。これは登記内容や法律による制限等の物件に関すること、契約解除の条件や瑕疵担保責任といった取引条件に関することといった契約にあたって取引する人が知っておくべきことをまとめた重要事項説明書を説明することです。

これは説明に専門知識が不可欠なため、宅建士しかできません。また、説明をしたことを記名するその名前も宅建士の資格保有者のみになっています。また、不動産売買をする事務所は従業員5名につき1名以上は宅建士であることが求められています。結果として、ハウスメーカー等で建売住宅を販売するときには必要な資格のため、取得を推奨している企業が多いです。

ほかに不動産関連の資格として、土地家屋調査士と不動産鑑定士というものもあります。こちらはさらに建設業から離れていく感じがしますが、ハウスメーカーさんが購入する土地の調査や評価といったところでは密接に関係していますし、ビルや工場などの建物施工前に、用地買収が関係してくると当然、調査・評価が必要になってくるので、この資格を持った不動産業との協業が不可欠になってくるのです。

まず、土地家屋調査士ですが、不動産の表示に関する登記の専門家です。宅地建物取引士の認定は国土交通省ですが、土地家屋調査士は法務省になります。不動産の位置や種類、構造、床面積といった物理的な状況を調査・走力して、登記の申請を行うことがメインの仕事です。筆記試験は午前と午後に分かれ、両方とも択一式と記述式があります。筆記試験合格後、口述試験もあります。作図や計算もあるため、難易度の高い試験といわれています。

測量に関しては、測量士という資格もありますが、登記目的の測量は土地家屋調査士しかできません。逆に登記目的以外の測量は土地家屋調査士にはできません。また、登記に関しては、表題部と呼ばれる不動産の物理的状況を登録する部分(表題登記といいます)は土地家屋調査士の範囲ですが、権利に関して登録する部分(保存登記といいます)は司法書士の範囲です。ただし、土地・建物購入時の登記義務は表題登記だけで、保存登記は義務でないようです。たし、相続や売却といった将来のことを考えるとまとめて行っておいたほうがいいので、土地家屋調査士と司法書士の両方がある事務所に登録を依頼するのが確実です。

もう一つの不動産鑑定士は不動産の鑑定評価を行う資格で、認定は宅地建物取引士と同じ国土交通省が行います。不動産鑑定を行ったの、不動産鑑定評価書を作成するのは不動産鑑定士のみの独占業務となっています。短答式と論文式試験があり、論文式はなんと3日間もかけて、民法、経済学、会計学、不動産の鑑定評価に関する理論とその演習の試験が行われます。難易度はすごく高い資格試験です。

不動産鑑定士には標準地の鑑定評価いわゆる公示地価を決めるお仕事もあります。宅地建物取引士が売買価格の参考にする地価は、不動産鑑定士によってきめられているのです。

宅地建物取引士、土地家屋調査士、不動産鑑定士とそれぞれの役割で土地建物の売買に関わっていることがご理解頂ければ幸いです。資格獲得を目指すことはなくても、役割を知っておくと土地建物関連の手続きの際に誰に頼むべきかがわかるのでお仕事に役に立つと思います。

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