今回も施工管理アプリ・サービスから派生して建設原価管理アプリ・サービスについて、お話します。
前回は工事業の分類を踏まえたお話をしました。今回は実務からみた原価管理の話をします。
ポイントは原価管理に係る実務の出来具合
原価管理ソフトといっても、比較的限定的な機能だけのものもあれば、基幹システムなみの多機能なものもあります。選ぶ時のポイントとして、自社がどの程度、その機能の実務をできているかということです。
例えば、現場別の日報がきちんととれていない状態で、現場単位の労務費管理は無理です。この場合は、日報のソフト・サービスを導入して、日報を付けれるようにしてから導入を検討します。各現場職員の単価を連動できるものであれば、日報ソフト+アルファでも労務費の原価管理ができます。
材料費の管理も同様です。一括で購入して、倉庫に入れておき、現場監督が各自で必要分を持ち出して利用するような場合に、入出庫管理ができていない場合に現場ごとの材料費は把握できません。
外注費も同様で、見積は工事ごとにとっているものの請求は月で一括といった場合に現場単位で把握はできません。では、このような状態では原価管理は使えないのでしょうか。いいえ違います。
会社で一つの原価管理
月単位で、自社全体の管理にすれば、原価管理は可能です。「個別の儲けがわからないと原価管理の意味がないのでは」と言われる方もいると思いますが、上記のような場合、会社自体の儲けが決算時にしかわからないケースが多いのです。なので、そこから始めましょうということです。
もちろん、労務費だけ、材料費だけといった使い方をしても問題ありません。前述したように労務費だけなら日報+単価設定がついたものであれば、原価管理はできます。注意すべき点はこのような場合、複数現場を掛け持ちしている監督が多いので、移動時間をどう考えるかと事務作業の時間をどう割り振るかです。これが難しければ、監督別原価管理として、複数現場をひとつの諸口工事として管理すれば、原価管理は可能です。
自社の実務にあった原価管理ソフトを選ばないと結局、使えないわからないといってソフトのせいにして原価管理ができないという本末転倒になります。原価の実務レベルを把握して選んでください。
◆経営格差工事クラウド
https://activesystem.co.jp/koujicloud-lp/
名前は少し変わっていますが、中小建設業向けの原価管理サービスです。見積から請求、予算、原価、発注、支払と一通りの機能がついています。
◆SMILE V 2nd Edition コストマネージャー
https://www.otsuka-shokai.co.jp/erpnavi/product/smilev-cost-manager/
大塚商会が提供する原価管理システムです。実行予算策定から原価管理、請求、発注、支払ができます。見積は別システムで連動できます。
◆e2movE クラウド
https://si.mitani-corp.co.jp/solution/e2move/cloud
工事原価、販売、会計を一体的に管理できるクラウドサービスです。特に販売は建材販売のノウハウが入っているので、建材業者が納入だけでなく、施工もする場合に向いています。
◆e2move 工事管理
https://si.mitani-corp.co.jp/solution/e2move/products/construction
実行予算から原価管理、工事発注、請求、入金管理ができます。販売管理や建設会計は別サービスで連動できるようになっており、徐々に管理範囲を広げたい場合はこちらです。
◆C2+EXECUTE
https://solution.ndisol.jp/c2
以前紹介した勘定奉行[建設業編]を強化するようなソフトです。案件管理から工事収支、業者支払、入金処理も行い、オプションですがJV出資金や労災保険なども管理できます。