パソコンの選び方(その2)

前回のハード編では、CPU・メインメモリ・ハードディスクの3点について、ポイントをお話しました。
 結論からすると、動画や3次元CADのような特別な用途でない限り、現在市販されているパソコンは、どれを買っても問題ありません。廉価なパソコン ですと、メインメモリが少ない場合が多いですが、大抵は増設可能。追加購入すればOKです。もちろん、実際に作業してみて速度に不満がなければそのままお 使いいただいて結構です。(動かないわけではありませんから。)

 では、市販パソコンの違いはどこでしょう。私はプレインストールソフトにあると思います。今回はソフトと購入のポイントについてお話します。

 

◆選び方(ソフト編)

 パソコンの販売ルートは、大きく下記の3つに分かれます。これらはルートが違うだけでなく、ソフト面でも大きな違いがあります。
 
 ・メーカー製パソコン
  日本電気、富士通、ソニー等、いわゆる家電ショップで購入できるパソコン。ほとんどのメーカーでは、初心者のあやふやなニーズ(?)に対応できるよう、いろいろなソフトを予め導入してあります。表計算やワープロはもちろん、家計簿やゲーム、年賀状ソフト等多くのソフトがてんこ盛りです。

 ・直販パソコン
  デルやゲートウェイ等、インターネットや電話で購入するパソコン。問屋や家電ショップの利益がない分、
同性能のメーカー製パソコンにくらべ安価です。表計算やワープロを選んで導入できる以外には、ソフトはありません。

 ・ショップパソコン
  パソコン専門ショップが、パソコン部品を組合せて作ったパソコン。余計な機能が皆無であり、価格的に一番安くなっています。しかし、ソフトはOS(基本ソフト)以外はない場合が多いでしょう。

 上記3タイプのうち、初心者にお勧めなのはメーカー製か直販です。
 ビジネスで使うのであれば、私個人としては直販パソコンをお勧めします。ただ、直販パソコンは直接手に取ることができませんから、周囲にパソコンの得手な人がいない場合は難しいのが欠点です。
 いっぽう、各種サポートが充実していること・ソフトが多いことは、ビジネスにおいて決してメリットではありません。理由としては、次のことが挙げられます。

 ○ハードディスクの容量が少なくなる。
  最近のパソコンであれば容量的に問題はないかもしれません。しかし少なくなっているには変わりません。

 ○OSのバージョンアップ等で動かなくなるソフトがでる。
  最近は少し落ち着きましたが、セキュリティの関係でOSをバージョンアップすることがあります。最近ではWindowsXP SP2  が有名ですが、バージョンアップの結果、動かなくなるソフトが出るのです。もちろん、ソフトメーカーで対応をしてくれることは多いのですが、予め入っているソフトが多いほど、対応の手間が増えてしまいます。ビジネスで使わないソフトのための手間は無駄ですね。
 
 ○ビジネスソフトはあまり入っていない。
  表計算とワープロは入っていますが、CADソフトやプレゼソフトは別途で購入する場合がほとんどです。また、CALS/EC では必須の写真管理ソフト、PDF作成ソフト、電子納品ソフトなども確実に別途導入となります。

 ただし、個人購入でビジネスでも使う場合(中小建設業では、このパターンが多いようです)、メーカー製の方が自宅で使うときの楽しみがあって良いかもしれません。

◆購入のポイント

 ○購入時期
  毎年2月・6月・12月にメーカーの新製品が発売され、春モデル・夏モデル・冬モデルと呼ばれます。この時期は、新年度前、ボーナス前(夏・冬)を意識しているのですが、この少し前(1月・5月・11月)になるとパソコン価格が下がってきます。購入時期について特にこだわりのない方は、この時期がお勧めです。
  
 ○購入価格
  個人で買う場合は予算の許す限りですが、会社で買う場合は目安として3つの壁(10万・20万・30)があります。
  
  ・10万円(少額な減価償却資産)
  いわゆる全額損金扱いにできる上限。直販のデスクトップパソコンなら、この価格に収まる品もあるでしょう。

  ・20万円(一括償却資産)
  3年間で償却できる資産。通常のパソコンであれば、この金額でほとんどが購入可能。また、「3年間」という期間は、パソコンの性能的な寿命(機械としては動くが、最新ソフトを動かすには無理がでる時期)と一致します。企業ではこの金額が目安となる場合が多いでしょう。

  ・30万円(少額減価償却資産)
  平成18年3月までの限定ですが、全額損金扱いにできます。プロジェクトと連動で購入する場合は、このパターンもいいかもしれませんね。

  どの価格帯にするかは、会社全体で決めることです。IT設備計画をしっかり立て会社全体でローテーションを組む時期なのか、充実させる時期なのか。それをを明確にし、戦略的に決めましょう。

 ○購入方法
  購入方法として、リース・レンタル・買取の3種類が考えられます。上記の購入価格内である限りは、買取をお勧めします。
  
  もちろん、古い機器の処分の問題、多くのパソコンを一括管理したい等がある場合は、リース会社を上手に使うのも一法です。しかし、PCリサイクル法が施行されて処分のほうは容易になりました。リース手続きが煩雑(契約や毎月の支払い)なことを考慮すると、台数がそう多くない場合は、パソコンにリースは不向きと思われます。また、レンタルは一時的にパソコンを使用したい場合には価値がありますが、その費用は決して安くありません(1万円/月 以上)。
  
 リース・レンタルに共通の問題として、建設系ソフトウェアは自前で用意し、インストール・管理しなくてはいけないことがあります。
  
 パソコンのハードは、粗末に使わなければ、特別に必要なメンテナンス作業はありませんが、ソフトは、セキュリティの関係や新しい機能、不具合修正のためにバージョンアップが欠かせません。また、通常3年程度使用していると、最低でも1回はソフトの新版が出ることになります。
 特にCALS/EC 関連は、毎年のように内容が改定されていますから、その都度対応するために新ソフトを導入せざるを得ないのが実情です。
  
 まとめると、シンプルな構成の直販パソコン+必要な建設系ソフトを導入する仕組みを、計画的に行うことが購入のポイントと言えます。